私の手元に、過去チャートで約40ヶ月分を検証したトレード記録があります。299回やって、119勝180敗。勝率は39.8%です。
はっきり負け越しています。それでも検証口座の残高は増えていました。純利益は+1,170.80ドル。
勝率が50%を切ったら手法を疑って、次を探しに行く。散々負けてた頃の私は、その基準で動いていました。ただこの記録を見るかぎり、間違っていたのは手法より、捨てるかどうかを決める基準のほうだったんです。
この記事では「勝率が低い=負け」という思い込みを、この検証データと1本の式でほどいていきます。式に必要なのは掛け算と引き算だけです。
【この記事の結論】
残高を決めるのは勝率ではなく、期待値(1回あたり平均いくら増えるか)
勝率39.8%でも通算プラスになることは、私の299トレードの実データで確認済みです
FXの勝率39.8%でも残高が増えた実データ

勝率4割を切ってるのに、なんで増えるの?
まず数字を出します。通貨はEURAUDの1本だけ。兼業で使える時間が限られているので、あちこち手を出すより1通貨の癖を覚えるほうに振り切りました。それを過去チャートで約40ヶ月分、検証した成績です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 検証期間 | 約40ヶ月 |
| トレード数 | 299回(119勝180敗) |
| 勝率 | 39.8% |
| 平均利益 | 136.14ドル |
| 平均損失 | 83.50ドル |
| 純利益 | +1,170.80ドル |
この数字の細部(月別の推移・ロングとショートの内訳・最大ドローダウンなど)は、姉妹記事の勝率39.8%の全データ公開記事にまとめています。本記事は、そのデータが教えてくれた原理のほうを言葉にしていきます。
見てほしい数字は2つだけです。勝ったときの平均が136.14ドル、負けたときの平均が83.50ドル。1回の勝ちが1回の負けの約1.6倍あります。
勝率よりも、この差のほうが残高を動かしていました。
期待値とは|FXの残高を決める、たった1本の式
【期待値とは】
トレードを1回するたびに、平均していくら増えるか(減るか)の見込み額のこと
この記事で使う式はこの1本だけです
期待値 = 勝率 × 平均利益 −(負ける確率 × 平均損失)
数式で書くと身構えますが、日本語にすると単純です。勝ったときにもらえる平均額に「勝てる割合」を掛ける。負けたときに払う平均額に「負ける割合」を掛ける。前者から後者を引く。それだけです。
私の実データを入れてみます。勝率39.8%×平均利益136.14ドルで約54.2ドル。負ける確率60.2%×平均損失83.50ドルで約50.3ドル。差し引きすると、1トレードあたり約+3.9ドルになります。
この+3.9ドルに299回を掛けると約1,166ドル。実際の純利益1,170.80ドルと、ほぼ同じ数字に戻ります。
種明かしをすると、一致するのは当たり前です。期待値は実績の平均から作った数字なので、掛け戻せば元に戻る。ここに驚きはありません。
言いたいのは別のことです。残高を動かしていたのは、勝ちの平均136.14ドルと負けの平均83.50ドルの比率のほうだったということ。だから見張るべきなのは勝率の上下より、この2つの平均がこれからも崩れないかどうかです。勝率は、この式の材料の1つでしかありません。
勝率90%でも資金が減る計算例
式の意味を体で感じてもらうために、架空の数字で2人のトレーダーを比べてみます。ここの数字は説明用に作ったもので、実在の成績ではありません。
| トレーダーA | トレーダーB | |
|---|---|---|
| 勝率 | 90% | 30% |
| 平均利益 | 10ドル | 300ドル |
| 平均損失 | 100ドル | 100ドル |
| 期待値 | −1ドル/回 | +20ドル/回 |
Aの計算だけ言葉でなぞります。10回のうち9回勝って9ドル稼ぎ、1回の負けで100ドル払う。トータルでは10回ごとに10ドル、つまり1回あたり1ドルずつ減っていきます。勝率90%なのに、続けるほど資金が減る構造です。
いわゆるコツコツドカンの正体がこれです。9回の気持ちいい勝ちの裏で、たまの1回が全部持っていく。私が損切りを先送りしてた頃にやっていたのは、まさにこのAの成績表づくりでした。含み損を確定させなければ、勝率の見た目だけは守れますから。
【勝率という数字の限界】
勝率が教えてくれるのは「どれくらいの頻度で勝てるか」まで
残高がどこへ向かうかは、平均利益と平均損失を足した3点セットでしか分かりません
Q. じゃあ勝率はどうでもいいのか。という疑問はもっともです。
A. どうでもよくはないです。平均利益と平均損失が同じなら、勝率が上がるほど期待値は上がります。順番の問題で、勝率「だけ」を見て手法の生き死にを決めるのが早すぎる、という意味です。
勝率を上げようとすると、裏で何が壊れるか
厄介なのは、勝率が簡単に「買える」数字だということです。
利確を早めれば勝ちの回数は増えますが、そのぶん平均利益が縮みます。損切りを遅らせれば負けの確定は減る代わりに、負けたときの平均損失が膨らんでいく。どちらも式の片側を立てて、もう片側を壊す行為なんです。
【勝率を追う行動】
含み益はすぐ利確して勝ちを確定させる
含み損は「戻るまで」持ち続ける
勝率が50%を切ったら手法ごと入れ替える
【期待値を守る行動】
損切り位置を先に決めて、あとから動かさない
伸びているときは決めた位置まで引っ張る
手法の判断は、同じ形の記録が溜まってから下す
私の実データでいえば、勝ちの平均136.14ドルは負けの平均83.50ドルの約1.6倍です。この比率が守れている間は、勝率39.8%は「負けている数字」に見えなくなります。6割負けても通算では増える、という計算がちゃんと成り立っているからです。
勝率を10%上げる努力と、決めた損切りを守り切る努力。どちらかを選べと言われたら、私は迷わず後者を選びます。勝率を上げに行くと他の数字を巻き添えにしがちですが、損切りの徹底は式のどこも壊さないからです。
期待値は、検証でしか測れない
式そのものは1分で覚えられます。問題は材料のほうです。
勝率・平均利益・平均損失。この3つは、自分のトレード記録からしか出てきません。ネットで拾った手法の解説ページには載っていないですし、載っていたとしてもそれは他人の数字です。
しかも少ない回数だと平気で偏ります。私の299トレードの中には最大12連敗があります。もしその12回だけを切り取って計算したら、期待値は真っ赤なマイナスに見えたはずです。回数が溜まって、はじめて式の答えが実際の残高に近づいていきます。
正直に書くと、期待値がプラスだと分かっていても、6割負け続けるのはしんどいです。これがリアル口座の12連敗だったら、式を知っていても途中で手法を捨てていたかもしれません。連敗が普通に起きることを先に検証で見ておけたのは、大きかったと思っています。
手法を1つに固定してください。エントリーの形が毎回違うと、出てきた平均に意味がなくなるからです。
記録から2つの平均額を割り出す作業です。検証ソフトなら、統計画面が自動で計算してくれます。
プラスなら、その手法は回数を増やして育てる価値あり。マイナスなら、どの材料が壊れているかを先に見ます。
リアル口座だけでこれをやると、回数集めに何年もかかります。私は過去チャートを使った検証で約40ヶ月分を先回りして集めました。相場が閉まっている土日でも回せるので、兼業には正直これしかなかったです。
断っておくと、過去チャートの検証成績がそのままリアル口座で再現される保証はありません。スプレッドの条件も、リアルタイムで値動きを待つ心理的な負荷も違います。私自身、この差はまだ埋めている途中です。それでも、期待値の材料になる3つの数字を自分の手で持っているかどうかで、手法を捨てる・残すの判断の質は変わると考えています。
使っているのはFTO(Forex Tester Online)という検証ソフトです。統計ページに勝率・平均利益・平均損失がそのまま表示されるので、期待値の材料集めがこのソフトの中で完結します。冒頭の表も、この統計画面の数字です。
【FTOで期待値の材料が揃う】
勝率・平均利益・平均損失を統計画面が自動集計
過去チャートで検証するので、回数を短期間で稼げる
ブラウザで動くのでMacでも使えます
料金プランや割引は変わることがあるので、購入前に必ず公式サイトで最新の表示価格を確認してみてください。
ちなみに私はずっとMacユーザーなので、Windows専用の検証ソフトが多い中で選択肢がほぼありませんでした。(会社のPCはWindowsです笑)
FXの勝率と期待値のよくある質問
勝率は何%あればいいですか
勝率単独では決められません。平均利益・平均損失との組み合わせで期待値がプラスになるなら、その勝率で足りています。私の実データでは39.8%で通算プラスでした。
何トレードあれば期待値を信じていいですか
何回なら安全、という断定はできません。ただ十数回程度だと連敗の偏りに簡単に飲まれます。私は299回集めましたが、それでも2つの平均がこの先崩れないか、検証を続けながら見張っている段階です。回数が多いほど式の答えが実際に近づく、としか言えないです。
計算したら期待値がマイナスでした。手法を捨てるべきですか
すぐ捨てる前に、どの材料が壊れているかを見てほしいです。平均損失だけが大きいなら、原因は手法でなく損切りの実行かもしれません。その場合、手法を替えても同じ結果になります。
デモ口座で数字を集めるのではだめですか
だめではないです。ただリアルタイムのデモは、300回分の記録が溜まるまでに実時間で数年かかります。過去チャート検証なら数ヶ月分の相場を数日で回せるので、材料集めの速さが違います。
手法を捨てる前に、数えてほしいもの
次の手法を検索する前に、いまの手法で勝ったときの平均と負けたときの平均を並べてみてください。数字が2つ揃えば、あとは掛けて引くだけです。
それでプラスなら、捨てる理由は勝率の中にはありません。マイナスなら、どこを直せばいいかまで数字に出ます。少なくとも、理由が分からないまま次の手法へ移るよりは前に進めます。
【今日できること】
直近のトレード記録から、勝ちの平均と負けの平均を出してみる
記録がないなら、まず同じ形のトレードを記録し始める
数字が揃ったら、期待値の式に入れてみる
なお、本記事の成績は2026年7月時点の私の検証記録(FTOの統計画面)によるもので、将来の成績を約束するものではありません。検証の具体的な手順や環境の作り方は、下の記事に分けてあります。
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